- 計画のねらい
林業・木材製造業労働災害防止協会(以下「協会」という。)は、関係行政機関の指導の下、平成15年度を初年度とし、同19年度を目標年度とする林業・木材製造業(以下「林材業」という。)における労働災害防止計画の目標(以下「前災防計画目標」という。)を定めた。
前災防計画目標では、死亡災害について、「労働災害による死亡者数の減少を確実なものとするとともに、林材業で年間60人(林業45人、木材製造業15人)を大きく下回ることを目指し、一層の減少を図ること」としていた。この目標に対し、死亡者数は、平成19年は林業50人、木材製造業8人の計58人となり、目標値を下回ることはできたが、大きく下回るには至らず、また、林業及び木材製造業別にみると、木材製造業は過去最少で目標を達成したが、林業は目指した数値目標を1割超え、目標達成に至らなかった。
また、前災防計画目標では、「計画期間中における労働災害総件数を20%以上減少させること」としていたところ、労働災害による休業4日以上の死傷者数は、この計画期間中全体としては着実な減少が図られ、木材製造業は30%以上の減少となり目標を達成したと評価できる成果を上げたところであるが、一方、林業は数値目標をかろうじて達成するにとどまると見込まれる。
以上の労働災害の発生状況をみると、特に林業では今後間伐等の事業量の増大が見込まれる中で、労働災害の防止とりわけ死亡災害等の重篤な災害の防止のための取組が重要である。
さらに、前災防計画目標では、「振動障害等職業性疾病の撲滅を図ること」としていたが、この5年間の計画期間中に新規認定者数がほぼ半減し、着実な減少が図られてきたものの、今後一層その減少を図る取組が必要である。
現下の林材業を取り巻く環境は、世界的な木材需要の増加等がみられる中、用材自給率の上昇など大きな転換期を迎えている。また、特に林業の就業者には、高齢化や新規雇用による未熟練者の増加など人的側面での労働災害防止対策が求められているとともに、作業環境においては、林業は高性能林業機械の現場導入や木材製造業では生産体制の連携・協業化(新生産システム)、生産設備の高能率化・自動ライン化の採用など新たな課題も生じている。
このような林材業における労働災害の発生状況や前災防計画に基づく取組の成果、林材業を取り巻く状況、さらに、新たに策定された国の労働災害防止計画(計画期間:平成20年度〜同24年度)等を踏まえ、協会では、林材業で働く人々の安全と健康の確保を目指した今後5年間の方向を示した林材業労働災害防止計画(以下「災防計画」という。)を策定する。特に、林業については、国の計画で林業が労働災害多発業種に指定されたことを踏まえ、@リスクアセスメントの普及促進、Aかかり木処理における安全な作業方法の徹底、B高性能林業機械等の安全対策の周知徹底を特別重点事項として掲げた。
本来、事業者は労働安全衛生関係法令に規定された最低基準としての危害防止措置を履行することは勿論のこと、災防計画で新たに設定された目標達成に向けて、林業・木材製造業労働災害防止規程を遵守し、自主的な安全衛生管理活動を計画的かつ積極的に展開し、リスクアセスメントを活用する等職場内のリスクの着実な低減に取り組む必要がある。
また、労働者も職場における安全と健康の確保を自らの問題ととらえ、事業者の行う安全衛生管理活動に主体的に参画していくことが求められている。
林材業に働く人々の安全と健康は、かけがえのないものであり、何にもまして尊重すべきものであることを銘記し、事業者、労働者をはじめ関係者が一体となり、積極的に安全衛生水準の向上に努めていくこととする。
また、これらの取組については、本部及び支部・分会が一体となって、関係行政機関、団体等と密接な連携を図りつつ推進していくこととする。
- 計画の期間
本計画は、平成20年度を初年度とし、同24年度を目標達成年度と定めた5ヵ年計画とする。
- 計画の目標
労働災害の防止並びに労働者の健康の確保及び快適職場の形成促進を図り、安全衛生水準の向上を期すため、次の目標を設定する。
なお、平成24年までの間、これらの目標に向けた逐年での減少を図る。
- 死亡者数は、平成24年において48人(林業40人、木材製造業8人)を下回ることを目指す。
- 死傷者数は、平成24年において同19年と比べ15%以上の減少を目指す。
- 定期健康診断における有所見率の減少を図るため、労働者の健康確保対策を推進するとともに、振動障害新規認定者数は、平成24年において同19年の人数を大きく下回ることを目指す。
- 重点項目
<林業対策>
○特別重点事項
- リスクアセスメントの普及促進
作業現場におけるリスクの着実な低減を図るため、事業体の担当者等に対し啓発活動を行うとともに、個別事業体に対し適切な実施のための指導を行う。
- かかり木の処理作業における安全な作業方法の徹底
死亡災害が続発しているかかり木処理作業について、各種会議等において注意喚起するとともに、作業者に対し各種の啓発活動を行い、安全な作業方法の普及徹底を図る。
- 高性能林業機械等の大型林業機械による安全作業の徹底
大型林業機械の運転は、誤った操作を行うと重大災害を引き起こす危険があり、高度な知識と経験が必要であるところから、オペレーターに十分な教育を行い安全な作業の徹底を図る。
○重点事項
- 伐木造材、造林作業及び機械集材装置等による集材作業の安全な作業方法の徹底
他産業に比し、労働災害発生率の高い林業における中心的な作業である伐木造材、造林及び集材作業において、労働災害防止規程の遵守等安全な作業方法の徹底を図る。
- チェーンソー作業用防護衣着用の促進
死傷災害の中で多発しているチェーンソーによる切創災害を防ぐため、チェーンソーを用いて作業を行う場合には、チェーンソー作業用防護衣の着用の徹底を図る。
- 刈払機による安全作業の徹底
一旦、発生すると重大災害に結びつき易い刈払機による労働災害を防止するため、労働災害防止規程の遵守等安全な作業の徹底を図る。
- 単軌条運搬機による安全作業の徹底
林道等の路網配置の難しい急傾斜地等に設置される単軌条運搬機については、安全作業の徹底を図る。
- 労働災害発生時における緊急連絡体制の整備の促進
林業の作業の多くは、病院等医療機関から遠隔の地でかつ少人数の作業者によるものであり、労働災害発生時には、直ちに連絡を行うとともに、的確な応急処置を行う必要がある。そのため、山林内での災害の発生から被災者の救出に至るまで、林業の作業現場における緊急連絡体制の整備を促進するとともに、日頃からの訓練の徹底を図る。
- 安全管理者等の安全衛生担当者の能力向上教育の実施
多発する林業の労働災害の減少を図るため、その活動の中核となる安全衛生担当者の能力向上教育を実施する。
- 低振動工具の使用、作業管理及び健康管理の徹底
作業者の健康確保のため、低振動工具の使用、作業管理及び健康管理の徹底を図る。
- 防蜂網の使用等による蜂刺され災害防止対策の徹底
林業の作業現場では、蜂刺されによる労働災害が発生しており、人によっては、激烈なアナフィラキシーショックを引き起こし、死亡に至ることがある。そのような場合、刺されて危険な状態に陥った作業者に対し、携行したアドレナリンの自己注射器(エピペン)で直ちに処置することが死亡災害を防ぐには有効である。そのため、防蜂網の着用等蜂刺されを防止する対策を行うとともに、蜂に刺された場合のアレルギー体質者に対する対策として医師の処方によるエピペンの携行等、蜂刺され災害防止対策の徹底を図る。
<木材・木製品製造業対策>
○重点事項
- リスクアセスメントの実施の促進
労働災害の着実な減少を図るため、リスクアセスメントのテキスト及びパンフレット並びにリスクアセスメント関係視聴覚教材を使用して、各事業体の担当者を養成するとともに、個別事業体での適切な実施の促進を図る。
- 木材加工用機械の安全化の促進及び安全な作業方法の徹底
木材加工用機械の導入に当たっては、「機械の包括的な安全基準に関する指針」に基づく事項を講じた機械を率先して設置する。さらに、使用上の情報の提供を踏まえ、作業方法について、リスクアセスメントを実施して、安全な作業方法を確立し、その励行の徹底を図る。
- 荷の積卸し、はい作業における安全な作業方法の徹底
フォークリフト、ログローダー等で荷の積卸し作業を行う場合は有資格者(運転者及び玉掛者)が、また、2m以上のはい付け又ははいくずし作業を行う場合ははい作業主任者がこれを実施する。さらに、作業方法について、リスクアセスメントを実施して、安全な作業方法を確立し、その励行の徹底を図る。
- 作業主任者の適正な配置及び職務の励行
作業主任者の選任を要する作業については、必ず当該作業主任者(木材加工用機械作業主任者、はい作業主任者等)を選任し、その職務の励行の徹底を図る。
- 塗装、接着作業等における局所排気装置等の設置の徹底
塗装、接着作業等に際し、有機溶剤、特定化学物質等の規制対象物質に該当するものを使用する場合には、局所排気装置、プッシュプル型換気装置等の設置及び保護具の装着の徹底を図る。
林材業労働災害防止計画(5ヵ年計画)(PDF:175KB)
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