令和4年の年頭に当たって

年頭所感

林業・木材製造業労働災害防止協会
会長 中崎 和久

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 新年を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。
 令和4年の年頭に当たり、林材業における労働災害防止活動にご尽力いただいております会員事業場の皆様をはじめ、当協会の事業運営にご指導、ご支援をいただいております関係行政機関並びに関係団体の皆様方に心から感謝申し上げます。

 一昨年来の新型コロナウイルス感染症は、現在わが国においては一時的に低い水準となっている状況にありますが、本年も引き続き感染対策の徹底と日常生活を両立させながら、社会経済活動を維持していくことが求められています。
 私たち協会は、ウィズ・コロナにおいても、林材業における労働安全衛生分野の専門家集団として林材業の作業特性を的確に捉え、長年にわたり蓄積した労働災害防止の知見とノウハウを活かして、安全で健康な林業、木材製造業の職場づくりのため、会員の皆様とともに、林材業の労働災害ゼロを目指して取り組んでまいります。

 さて、本年は林材業労働災害防止計画(5カ年計画)の最終年となります。林材業における労働災害発生件数は、皆様方のたゆまぬご努力の成果もあり、長期的に減少を続けておりますが、労働災害発生率をみますと他産業に比べ林材業は未だに高い水準で推移しているところであります。

 令和3年の林材業における労働災害の発生状況を見ると、令和2年に比べ死亡者数は林業において減少、木材製造業において増加となっております。また、同じく休業4日以上の死傷者数は林業において減少しているものの、木材製造業においては増加(11月速報値)しており、2022年度までの5年間を計画期間とする林材業労働災害防止計画の目標達成に向けて予断を許さない状況にあります。

 林材業で働く方々が安全で健康に働くための活動を支援することを目的として設立された私ども協会は、本年におきましても労働災害防止計画の最終年にあって、計画に掲げた数値目標達成のみならず、林材業事業場における安全衛生水準のさらなる向上に向け、次に掲げる事業を中心とした支援を推進してまいります。

 一つ目は、国の第13次労働災害防止計画において林業が重点取組業種として指定されたことを重く受け止め、林業の中でも重篤な災害が発生する割合が高い伐木等作業における労働災害撲滅を図るため、林野庁と連携した災害防止対策の特別活動、林業・木材製造業労働災害防止規程の遵守徹底、リスクアセスメントの普及促進のほか、安全管理士及び林材業労災防止専門調査員の専門家による個別指導や集団指導会などの取組を進めていくこととしています。
 また、伐木等作業の中でもとりわけ死亡災害発生率が高い高年齢労働者と新規就業者に対しては、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」も踏まえながら災害防止対策などの再発防止対策に重点的に取り組んでいくこととしています。
 さらに、偏心木等困難木の伐倒やかかり木処理など高度な技術を要する作業に従事する伐木等作業者に対する講習制度に係る安全衛生教育を充実させるための調査研究を引き続き進めてまいります。

 二つ目は、事業場の安全衛生管理活動を支援するための支援・指導事業の取組です。
 林材業では小規模零細事業場の割合が高く、安全衛生管理体制の整備が不十分であったり、有効に機能していないなどの事例が多くみられ、個々の事業場や地域の労働安全衛生活動の水準向上を図ることが課題となっています。このことから、安全管理士等の労働安全衛生の専門家による現場安全パトロール、個別安全指導、集団指導により支援を行うとともに、高年齢労働者を雇用する事業場には「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」を踏まえ、安全衛生管理状況に応じた災害防止のための支援を行います。さらに、非会員を含めた業界全体に対する技術支援と指導により自主的な安全衛生活動の底上げを図る事業を進めてまいります。

 三つ目は、災害の未然防止を図る有効な手法であるリスクアセスメントの定着に向けた取組です。
 協会が林材業作業特有の災害を踏まえ開発した「簡易リスクアセスメント記録書」を活用した「リスクアセスメント実践マニュアル」を用いた集団指導会を開催して参加者の拡大を図るとともに、現場への定着を目指したフォローアップなどの対策に取り組んでまいります。
 特に、林材業においては中高年齢労働者の割合が高いこともあって労働災害発生率も高いことから、中高年齢労働者の災害減少を図ることが喫緊の課題でであり、これらの年代の労働者を対象としたリスクアセスメント集団指導会の充実を進めてまいります。

 四つ目は、林業・木材製造業労働災害防止規程の遵守徹底への取組です。
 災防規程については、リスクアセスメント集団指導会において、災害が多い作業重点事項の指導を行うとともに、安全パトロールや個別指導を通じて、正しい作業手順と安全な作業方法を指導して災防規程の周知と遵守の徹底を図ってまいります。
 また今般の労働安全衛生規則等の改正と、近年の災害発生状況を踏まえ、災防規程を変更するための検討を進めてまいります。

 五つ目は、労働者の安全と健康を守る上で中核となる安全衛生教育事業です。
 最新の専門家の知見や法令改正を的確に捉え、安全衛生教育用教材の作成と改訂を行うとともに、的確な講師の選定と適切な講習方法に基づいた安全な教育研修の実施により、林業、木材製造業に携わる方々に向けた安全衛生水準の向上の支援を進めてまいります。

 六つ目は、チェーンソー等の振動工具による振動障害をはじめとする職業性疾病の予防対策です。
 未だに発生をみている振動障害を予防するため、特殊健康診断の確実な実施のための受診勧奨や巡回特殊健康診断の実施を引き続き進めていくこととしています。また、腰痛など林業、木材製造業に特有な職業性疾病についても、予防対策の周知を行ってまいります。

 以上の対策が効果的かつ強力に進められるよう、本部・支部が一体となって会員事業場の皆様をはじめ、林材業関係者の皆様への支援、援助を図ってまいります。
 本年も当協会の活動に対し引き続きご支援とご協力を頂きますよう、お願い申し上げます。
 最後になりましたが、皆様方のご安全とご健康を祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。