令和3年の年頭に当たって

年頭所感

林業・木材製造業労働災害防止協会
会長 村松 二郎

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 新年を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。
 令和3年の年頭にあたり、林材業における労働災害防止活動にご尽力いただいております会員事業場の皆様をはじめ、当協会の事業運営にご指導、ご支援をいただいております関係行政機関並びに関係団体の皆様方に心から感謝申し上げます。

 また、昨年は、チェーンソーによる伐木等作業の特別教育の統合と安全衛生特別教育規程の改正が施行され、従来の特別教育修了者を対象とする補講においては、林材業でチェーンソー作業に従事するほぼ大部分の労働者の方々が補講を修了されましたことについて、会員事業場をはじめ関係者のご協力に重ねて感謝申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症は、非常に大きな問題として続いており、職場や生活の場における感染症対策が強く求められています。そして、山の現場、木材産業の現場といえども新型コロナウイルスと無縁ではありません。私たち協会は、会員の皆さまとともに労働災害ゼロを目指して活動していますが、労働災害だけでなく職場における感染症対策を徹底し、新型コロナウイルスに巻き込まれることなく安全で健康な林業、木材製造業の職場を作ることが、ひいては魅力ある林業、木材産業につながるものと信じています。

 さて、皆様方のたゆまぬご努力の成果もありまして、林材業における労働災害発生件数は長期的に減少を続けておりますが、労働災害発生率をみますと他産業に比べ林材業は未だに高い水準で推移しているところです。

 本年も、林材業で働く方々が安全で健康に働けるよう、直近の労働災害発生状況などを踏まえつつ、労働災害防止計画の第4年目として、計画に掲げた数値目標達成に向けて、次に掲げる事業を中心とした支援に取り組んでまいります。

 一つ目は、伐木等作業における労働災害撲滅のための対策事業です。
 林業における死亡災害のうち、伐木等作業による死亡災害は6割以上を占めています。伐木等作業の中には、高度な技術が必要とされる場面も多くあり、安全作業を行うための技能と知識を身につけることが不可欠です。一方、伐木等作業における死亡労働災害においては、中高年齢労働者と新規就業者の割合が高く、このような労働者への研修が必要です。
 また、令和元年度から都道府県、市町村への森林環境譲与税の譲与が開始され、地域の森林整備等が本格化するとともに主伐期を迎えた人工林の伐採や整備が促進され、それらに伴って労働災害の増加が懸念されます。
 こうしたことから、林野庁と連携した特別活動では、安全管理士と都道府県に配置される林業普及指導員に加えて、市町村の林業請負事業発注担当者にも参加していただき、効果的な現場指導を展開いたします。
 さらに、偏心木等困難木の伐倒やかかり木処理など高度な技術を要する作業に従事する伐木等作業者に対する講習制度に係る「伐木等作業者に対する能力向上教育の充実のための調査研究検討委員会」では、安全衛生教育を充実させるための検討を引き続き進めてまいります。

 二つ目は、事業場の安全衛生管理活動を支援するための支援・指導事業です。
 林材業では小規模事業場の割合が高く、安全衛生管理体制の整備が十分でなかったり、有効に機能していなかったりという事例が多くみられるとともに労働災害発生率が他産業に比べて非常に高い状況にあることから、これら小規模事業場への集中指導が求められます。
 また、昨年、厚生労働省は、高年齢労働者の増加を踏まえ、高年齢者が安心して安全に働ける職場環境の実現を目的として「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」を作成し、事業者と労働者が講ずべき措置が盛り込まれました。
 これらのことから、安全管理士等の労働安全衛生の専門家による現場安全パトロール、個別安全指導、集団指導により個々の事業場や地域の労働安全衛生活動の水準向上を図るとともに、高年齢労働者を雇用する事業場には安全衛生管理状況に応じた災害防止のための支援を行います。さらに、非会員を含めた業界全体に対する技術支援と指導により自主的な安全衛生活動の底上げを図る事業を進めます。

 三つ目は、災害の未然防止を図る有効な手法であるリスクアセスメントの定着に向けた取組です。
 協会が林材業作業特有の災害を踏まえ開発した「簡易リスクアセスメント記録書」と「リスクアセスメント実践マニュアル」を活用した集団指導会を開催して参加者の拡大を図るとともに、現場への定着を目指したフォローアップなどの対策に取り組んでまいります。
 特に、林材業においては中高年齢労働者の割合が高く、また同年代の労働災害発生率が高いこともあり、中高年齢労働者の災害減少を図ることが喫緊の課題であることから、同年代の労働者を対象としたリスクアセスメント集団指導会の充実を進めてまいります。

 四つ目は、林業・木材製造業労働災害防止規程の遵守徹底への取組です。
 労働災害防止規程については、リスクアセスメント集団指導会において、災害事例と対応する遵守規程を盛り込んだ「今日の作業ポイントカード」を活用して災害が多い作業重点事項の指導を行うとともに、安全パトロールや個別指導を通じて、正しい作業手順と安全な作業方法を指導して災防規程の周知と遵守の徹底を図ってまいります。

 五つ目は、労働者の安全と健康を守る上で中核となる安全衛生教育事業です。
 最新の専門家の知見や法令改正を的確に捉え、安全衛生教育用教材の作成と改訂を行うとともに、的確な講師の選定と適切な講習方法に基づいた安全な教育研修の実施により、林業、木材製造業に携わる方々に向けた安全衛生水準の向上の支援を進めてまいります。

 六つ目は、チェーンソー等の振動工具による振動障害をはじめとする職業性疾病の予防対策です。
 未だに発生をみている振動障害を予防するため、特殊健康診断の確実な実施のための受診勧奨や巡回特殊健康診断の実施を引き続き進めてまいります。また、腰痛など林業、木材製造業に特有な職業性疾病についても、予防対策の周知を行ってまいります。

 以上の対策が効果的かつ強力に進められるよう、本部・支部が一体となって会員事業場の皆様をはじめ、林材業関係者の皆様への支援、援助の推進を図ってまいります。今後とも当協会の活動に引き続きのご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げるとともに、皆様方のご多幸とご発展並びに新型コロナウイルス感染の早期収束を祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。