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保守・点検作業災害防止対策

木材製造業における非定常作業での留意点について

 非定常作業は、通常の定常作業と異なり作業頻度は多くありません。その一方で、作業項目が多岐にわたったり、作業を行う者が作業に熟知していなかったりして、労働災害の発生頻度が高くなっている傾向があります。
 他の作業と同様、保守・点検作業中における労働災害もあってはならないことで、安全を確認しながら作業を実施する必要があります。特に、いくつかの作業を平行して行っている場合は、機械の運転を開始する際、一定の合図を定めておく必要があります(労衛則第104条)。

 非定常作業にはいくつかのタイプがありますが、大別すると2つの種類に分けることができます。
 その一つが定期点検のように、1か月、6か月、1年ごとに行われるような繰り返しの作業です。その頻度が低い作業は、計画的非定常作業と呼ばれます(同じ点検作業でも、毎日の始業時点検、終業後に行う日常点検などは、定常作業です。)。

 もう一つの非定常作業は、突発的異常事態に対する場合のような緊急作業です。 作業の途中で、必要になった整備も緊急作業といえますが、その中には予測できるものもあります。同じ内容の作業でも、作業ごとに作業方法を変えざるを得ない作業は、繰り返し性のない、計画的非定常作業と考えてよいでしょう。

 整理すると、非定常作業には、以下のような作業が含まれます。

  1. 繰り返し行わる作業ではあるが、頻度が低い作業。
  2. 同じ作業の内容でも、作業ごとに作業方法を変えざるを得ない作業。
  3. 作業の途中で必要になった整備(切屑除去、そうじ、注油、検査、修理等)。
  4. 突発的な異常事態に対する措置のように、緊急を要する作業。

 労働災害は、定常作業時よりも非定常作業時の方が多く発生していますので、非定常作業の作業手順を整備しておくことには重要な意義があります。
 非定常作業でも、計画的非定常作業や予測できるような作業については、定常作業と同じような方法で作業手順を作成しておくことが必要です。
 しかし、頻度の少ない作業の手順を細かく定めても覚えていることは困難ですので、要素作業*の手順は粗く(基本的重要事項だけ)定めて、大切な要所の欄に書き込む。そして、作業を始める前に、危険予知のためのミーティングを行うなどして、その作業で特に気をつけなければならない要素作業や動作について話し合うとよいでしょう。
 さらに、機械、設備の管理面などの検討をはじめ、事前の作業調整、十分な作業時間の確保などが必要です。

 厚生労働省は、非定常作業時の労働災害を減らすため、次のガイドラインを出していますので、参考にされるとよいでしょう。

自動化生産システムの非定常作業における安全対策のためのガイドラインの策定について(平成9年12月22日付け基発第765号)
*「要素作業」とは、作業単位を構成する要素で、目的別に区分される一連の動作又は作業を指す(生産管理用語(JIS Z 8141)より)。

労働安全衛生規則(抄)(昭和47年労働省令第32号)

第2編 安全基準

第1章 機械による危険の防止
第1節 一般基準
(運転開始の合図)

第104条 事業者は、機械の運転を開始する場合において、労働者に危険をおそれのあるときは、一定の合図を定め、合図をする者を指名して、関係労働者に対し合図を行わせなければならない。
2 労働者は、前項の合図に従わなければならない。

(そうじ等の場合の運転停止等)

第107条 事業者は、機械(刃部を除く。)のそうじ、給油、検査又は修理の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない。ただし、機械の運転中に作業を行わなければならない場合において、危険な箇所に覆いを設ける等の措置を講じたときは、この限りではない。
2 事業者は、前項の規定により機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠をかけ、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止するための措置を講じなければならない。

(刃部のそうじ等の場合の運転停止等)

第108条 事業者は、機械の刃部のそうじ、検査、修理、取替え又は調整の作業を行うときは、機械の運転を停止しなければならない。ただし、機械の構造上労働者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでない。
2 事業者は、前項の規定により機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠をかけ、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止するための措置を講じなければならない。
3 事業者は、運転中の機械の刃部において切粉払いをし、又は切削剤を使用するときは、労働者にブラシその他の適当な用具を使用させなければならない。
4 労働者は、前項の用具の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。