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第2編 林業 第3章 木材伐出機械等 第3節 林業架線作業 (第187条‐第248条)

第1款 通則

(就業の制限)
第187条
会員は、機械集材装置の運転の業務(安衛則第36条第7号)を行う場合には、特別教育規程第9条に定める特別教育を修了した者(以下「機械集材装置の運転に係る特別教育修了者」という。)でなければ、その業務に就かせてはならない。
(調査及び記録)
第188条
会員は、林業架線作業(機械集材装置若しくは運材索道の組立て、解体、変更若しくは修理の作業又はこれらの設備による集材若しくは運材の作業をいう。以下同じ。)を行う場合には、あらかじめ次の各号に掲げる事項を調査し、その結果を記録しておかなければならない。
  • (1) 地山の地形、地質、き裂、含水、湧水、凍結等の状況
  • (2) 架空電線等の有無の状況
  • (3) 既設の道路、林道及び作業道の状況
  • (4) 支柱とする立木の状態並びに運搬する原木等の形状、種類、径、高さ及び重量
  • (5) 緊急車両の走行経路及び携帯電話等又は無線通信による通信が可能である範囲
(調査及び記録を踏まえたリスクアセスメント等の実施)
第189条
会員は、前条の調査及び記録を踏まえてリスクアセスメント等を実施しなければならない。
(作業計画)
第190条
会員は、林業架線作業を行う場合は、第188条の調査結果及び前条のリスクアセスメントの結果に適合し、かつ、次の各号に掲げる事項を含む作業計画を定め、当該作業計画に基づき作業を行わなければならない。
  • (1) 支柱及び主要機器の配置の場所
  • (2) 使用するワイヤロープの種類及びその直径
  • (3) 中央垂下比
  • (4) 最大使用荷重、搬器と搬器の間隔及び搬器ごとの最大積載荷重
  • (5) 機械集材装置の集材機の種類及び最大けん引力
  • (6) 林業架線作業の方法
  • (7) 緊急車両の走行経路、緊急連絡先及び携帯電話等又は無線通信による通信が可能である範囲
  • (8) 労働災害が発生した場合の応急の措置及び傷病者の搬送方法
  • (9) 調査及び記録を踏まえたリスクアセスメント結果に基づくリスクの低減対策
2 会員は、前項の作業計画を定めたときは、同項各号に掲げる事項(第3号及び第5号に掲げる事項を除く。)を関係作業者に周知させるとともに、当該計画により作業を行い、また、作業指揮者に指揮させなければならない。
(作業指揮者)
第191条
会員は、林業架線作業を行うときは、当該作業の作業指揮者を定め、その者に前項の作業計画に基づき作業の指揮を行わせなければならない。
(林業架線作業主任者の選任)
第192条
会員は、林業架線作業を行う場合には、林業架線作業主任者(安衛則第151条の126の作業主任者をいう。以下同じ。)を選任しなければならない。
(林業架線作業主任者の職務)
第193条
会員は、林業架線作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。
  • (1) 作業の方法及び作業者の配置を決定し、作業を直接指揮すること。
  • (2) 材料の欠点の有無並びに器具及び工具の機能を点検し、不良品を取り除くこと。
  • (3) 作業中、要求性能墜落制止用器具又は胴ベルト(U字つり)及び保護帽の使用状況を監視すること。
(服装等)
第194条
会員は、林業架線作業を行う場合には、作業者に、次の各号に掲げる事項を守らせなければならない。
  • (1) 袖締まり、裾締まりのよい作業服を着用する等、安全な作業を行うことができる服装とすること。
  • (2) 保護帽を着用すること。
  • (3) 滑るおそれがなく、かつ、脱げにくい履物を使用すること。
(危険標識の設置)
第195条
会員は、林業架線作業を行う場合には、危険が予想される通路、搬出路等の近くに作業中等の危険標識を設けなければならない。
(悪天候時の作業の禁止)
第196条
会員は、強風、大雨、大雪等の悪天候のため林業架線作業の実施について危険が予想される場合には、作業者に、当該作業を行わせてはならない。
(退避)
第197条
会員は、林業架線作業中の非常の場合には、作業者を、あらかじめ、定めた安全な場所へ速やかに退避させなければならない。
(柱上作業)
第198条
会員は、柱上作業を行う場合(第199条の高所作業を行うときを除く。)には、作業者に、次の各号に掲げる事項を守らせなければならない。
  • (1) 支柱の昇降には、はしごや木登り器等の専用の安全な用具又は器具を使用するとともに、保護帽を着用し、必要に応じて胴ベルト(U字つり)を使用すること。
  • (2) 墜落の危険があるときは、保護帽を着用し、必要に応じて胴ベルト(U字つり)を使用すること。特に、作業時の足元の高さが2メートル以上の高所で作業を行うときは、胴ベルト(U字つり)を確実に使用すること。
  • (3) 柱上より器具、工具類を投下しないこと。
  • (4) 強風又は降雨、降雪、結氷等により滑るおそれのあるときは、作業を行わないこと。
(鋼製支柱等の設置等における墜落防止措置)
第199条
会員は、林業架線作業において、先柱若しくは元柱に使用する適当な立木がないこと等により、鋼製支柱又は木製支柱を用いる場合、その設置、撤去、点検等が高所作業となるときは、墜落防止措置として、要求性能墜落制止用器具のフック等を安全に掛けることができる鋼製支柱又は木製支柱の主管、補助管又は横架材にフック等を掛けて要求性能墜落制止用器具を使用しなければならない。
(制動装置等)
第200条
会員は、機械集材装置又は運材索道については、次に定めるところによらなければならない。
  • (1) 搬器又はつり荷を制動させる必要がない場合を除き、搬器又はつり荷を適時停止させることができる有効な制動装置を備えること。
  • (2) 主索、控索及び固定物に取り付ける作業索は、支柱、立木、根株等の固定物で堅固なものに2回以上巻き付け、かつ、クリップ、クランプ等の緊結具を用いて確実に取り付けること。
  • (3) 支柱の頂部を安定させるための控えは、2以上とし、控えと支柱とのなす角度を30度以上とすること。
  • (4) サドルブロック、ガイドブロック等は、取付け部が受ける荷重により破壊し、又は脱落するおそれのないシャックル、台付け索等の取付け具を用いて確実に取り付けること。
  • (5) 搬器、主索支持器その他の附属器具は、十分な強度を有するものを使用すること。
  • (6) えい索又は作業索の端部を搬器又はロージングブロックに取り付けるときは、クリップ止め、アイスプライス等の方法により確実に取り付けること。
(転倒時保護構造等)
第201条
会員は、架線集材機械を機械集材装置の集材機として用いる場合は、路肩、傾斜地等であって、架線集材機械の転倒又は転落により作業者に危険が生ずるおそれのある場所においては、転倒時保護構造を有し、かつ、シートベルトを備えたもの以外の架線集材機械を使用しないように努めなければならない。
2 会員は、シートベルトを具備している場合、運転者にシートベルトを使用させなければならない。
(ヘッドガード)
第202条
会員は、機械集材装置の集材機については、堅固なヘッドガードを備えたものでなければ使用してはならない。ただし、原木等の落下により運転者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでない。
(防護柵等)
第203条
会員は、機械集材装置の集材機については、原木等の飛来等により運転者に危険を及ぼすおそれのあるときは、運転者席の防護柵等当該危険を防止するための設備を備えたものでなければ使用してはならない。
2 会員は、機械集材装置の集材機として用いる架線集材機械について、乗車席で作業装置の運転を行う場合は、フロントガードを備えたものでなければ使用してはならない。
(接触の防止)
第204条
会員は、架線集材機械を機械集材装置の集材機として用いて集材の作業を行うときは、運転中の架線集材機械又は取り扱う原木等に接触することにより作業者に危険が生ずるおそれのある箇所に作業者を立ち入らせてはならない。
(搭乗の制限)
第205条
会員は、機械集材装置又は運材索道の搬器、つり荷、重錐等のもので、つり下げられているものに、作業者を乗せてはならない。ただし、搬器、索等の器材の点検、補修等臨時の作業を行う場合で、墜落等による危険を生ずるおそれのない措置を講ずるときは、この限りでない。
2 会員は、架線集材機械を機械集材装置の集材機として用いて集材の作業を行うときは、乗車席以外の箇所に作業者を乗せてはならない。
(運転位置から離れる場合の措置)
第206条
会員は、運転者が機械集材装置の運転位置から離れる場合、その運転者に次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 作業索を緩めること。
  • (2) 集材ウインチを完全に停止すること。
  • (3) アタッチメントを有する架線集材機械を機械集材装置の集材機として用いる場合は、アタッチメントを接地させること。
  • (4) エンジンを止めること。
(運転位置からの離脱の禁止)
第207条
会員は、機械集材装置又は運材索道が運転されている間は、当該集材機械装置又は運材索道の運転者を運転位置から離れさせてはならない。
2 前項の運転者は、機械集材装置又は運材索道が運転されている間は、運転位置を離れてはならない。
(合図等)
第208条
会員は、林業架線作業を行う場合には、電話等の装置を設けて当該装置を使用する者を指名し、又は一定の合図を定めて当該合図を行う者を指名し、その指名された者に必要な連絡又は合図を行わせなければならない。
(立入禁止)
第209条
会員は、林業架線作業を行う場合には、次の各号のいずれかに該当する箇所には、立ち入りを禁止する旨の明確な表示を行い、第2項に定める場合を除き、作業者を立ち入らせてはならない。
  • (1) 主索の下であって、原木等の落下又は降下により作業者に危害を及ぼすおそれのある箇所
  • (2) 原木等を荷掛けし、又は集材している場所の下方で、原木等が転落し、又は滑ることにより、作業者に危険を及ぼすおそれのあるところ
  • (3) 作業索の内角側であって、索又はガイドブロック等が反発 し、又は飛来することにより作業者に危険を及ぼすおそれのある箇所
  • (4) 柱上作業が行われている場所の下方で、器具や工具等の落下により作業者に危険を及ぼすおそれのあるところ
  • (5) その他作業者に危害を及ぼすおそれのある箇所
2 会員は、前項の箇所に作業者を立ち入らせる必要がある場合には、あらかじめ、林業架線作業主任者に連絡し、機械の運転を停止させる等の措置を講じ、危害発生のおそれのないことを確認させなければならない。
(盤台)
第210条
会員は、盤台を作設する場合には、作業者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 荷重に対して耐え得る構造とすること。
  • (2) 盤台を構成する支柱、けた、はり等は、鉄線、ボルト等により確実に固定すること。
  • (3) 高さが2メートル以上の盤台にあっては、墜落防止設備を設けること。
  • (4) 安全な場所に退避場所を設けること。
(ワイヤロープ等の安全係数)
第211条
会員は、機械集材装置又は運材索道のワイヤロープ等の安全係数については、次の表の左欄に掲げる用途に応じて、それぞれ同表の右欄に掲げる値以上としなければならない。
ワイヤロープ等の用途 安全係数
主索 2.7
サイドケーブル 2.7
えい索 4.0
作業索(巻上げ索を除く) 4.0
巻上げ索 6.0
控索 4.0
台付け索 4.0
荷吊り索 6.0
チェーン 5.0
(不適格なワイヤロープの使用禁止)
第212条
会員は、機械集材装置又は運材索道のワイヤロープについては、次のいずれかに該当するものを使用してはならない。
  • (1) ワイヤロープの一よりの間において素線(フイラ線を除く。以下本号において同じ。)数の10パーセント以上の素線が切断したもの
  • (2) 摩耗による直径の減少が公称径の7パーセントを超えるもの
  • (3) キンクしたもの
  • (4) 著しい形崩れ又は腐食のあるもの
(クリップの使用)
第213条
会員は、クリップの使用について、作業者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) クリップの種類及び取付個数は、次の表の左欄に掲げるワイヤロープの直径に応じて、同表の中欄に掲げるクリップの種類及び同表の右欄に掲げる取付個数とすること。
    ワイヤロープの直径
    (単位 ミリメートル)
    クリップの種類 取付個数 (単位 個)
    6×24又は6×37ワイヤロープの場合 6×19ワイヤロープの場合 6×7ワイヤロープの場合
    6.3~ 8 F8 又は  MR8
    9  ~10 F10 又は MR10
    11.2~ 12.5 F12 又は MR12
    14 F14 又は MR14
    16 F16 又は MR16
    18 F18
    20 ~ 22.4 F20 - 22
    24 ~25 F24 - 25
    26 ~28 F26 - 28
    30 ~ 31.5 F30 - 32
    33.5 ~ 37.5 F33 - 38 11
    40 ~45 F40 - 45 11
    47.5 ~ 50 F47 - 50 10 12

    (注)Fは鍛造製、MRは鋳造製である。

  • (2) クリップのU字側をワイヤロープの端末側にすること。
  • (3) クリップのナットは、各ナットに均一に力が作用するように確実に締め付けること。
  • (4) クリップの取付間隔はワイヤロープの一よりの長さ(おおむねワイヤロープの直径の6.5倍)とすること。また、末端のクリップとワイヤロープの端末との間隔はワイヤロープの直径の6倍以上とすること。なお、6×7ワイヤロープの場合は8倍とすること。
  • (5) ワイヤロープを根株、立木等の固定物に取り付けるときは、当該固定物とその直近のクリップとの間隔を当該固定物の直径の1.5倍以上とすること。
(試運転)
第214条
会員は、機械集材装置の組立て又は主索の張力に変更を及ぼすような変更をする場合には、主索の緊張度を検定し、かつ、最大使用荷重で試運転を行わせなければならない。
2 会員は、試運転終了後に、林業架線作業主任者に、点検をさせなければならない。
(点検)
第215条
会員は、林業架線作業については、次の表の上欄に掲げる場合に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる事項を点検し、異常を認めたときは、直ちに、補修し、又は取り替えなければならない。
点検を要する場合 点 検 事 項
組立又は変更を行った場合
試運転を行った場合
  • ・支柱及びアンカ-の状態
  • ・集材機、運材機及び制動機の異常の有無及びその据付けの状態
  • ・主索、えい索、作業索、控索及び台付け索の異常の有無及びその取付の状態
  • ・搬器又はロージングブロックとワイヤロープとの緊結部の状態
  • ・安衛則第151条の141第1項の電話、電鈴等の装置の異常の有無
強風、大雨、大雪等の悪天候の後及び中震以上の地震の後の場合
  • ・支柱及びアンカ-の状態
  • ・集材機、運材機及び制動機の異常の有無及びその据付けの状態
  • ・主索、えい索、作業索、控索及び台付け索の取付の状態
  • ・安衛則第151条の141第1項の電話、電鈴等の装置の異常の有無
その日の作業を開始しようとする場合
  • ・集材機、運材機及び制動機の機能
  • ・荷吊り索の異常の有無
  • ・運材索道の搬器の異常の有無及び搬器とえい索との緊結部の状態
  • ・安衛則第151条の141第1項の電話、電鈴等の装置の機能

第2款 集材作業

(最大使用荷重等の指示)
第216条
会員は、機械集材装置を設置しようとする場合には、あらかじめ、林業架線作業主任者に、次の各号に掲げる事項を示さなければならない。
  • (1) 集材機、支柱、盤台等の配置の場所
  • (2) 主索、作業索の種類及びその直径
  • (3) 支間距離の合計
  • (4) 支間の斜距離、傾斜角及び中央垂下比
  • (5) 最大使用荷重
  • (6) 集材機の最大けん引力
(集材機の据付け箇所)
第217条
会員は、集材機を据え付ける場合には、林業架線作業主任者に、次の各号に掲げる要件を具備した箇所を選定させなければならない。
  • (1) 機体を水平に安定できること。
  • (2) 堅固なアンカ-が取れること。
  • (3) 主索の直下でないこと。
  • (4) 台付け索の切断又はガイドブロックの脱落等により、作業索又はガイドブロックが反発又は飛来するおそれがないこと。
  • (5) 落石、出水等による危険のないこと。
  • (6) 直近のガイドブロックからドラム幅の15~20倍程度の距離があること。
(集材機又は運材機の据付け)
第218条
会員は、機械集材装置の集材機又は運材索道の運材機の据付けの作業を行う場合には、作業者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 集材機のドラムを直近のガイドブロックに正対させること。
  • (2) 歯止装置又は止め金つきブレーキを備え付けること。
  • (3) 振動により横振れし、又は張力により浮き上がり、若しくは引き出されることがないようにアンカ-に確実に固定すること。
  • (4) 集材機に小屋がけを行うときは、運転に支障をきたさないものとすること。
2 会員は、架線集材機械を機械集材装置の集材機として用いる場合は、次に定める措置を講じなければならない。
  • (1) 架線集材機械の停止の状態を保持するためのブレーキを確実にかける等の架線集材機械の逸走を防止する措置を講じること。
  • (2) アウトリガーを必要な広さ及び強度を有する鉄板等の上で張り出し、又はブレードを地上に下ろす等の架線集材機械の転倒又は転落による作業者の危険を防止するための措置を講ずること。
(立木支柱の選定)
第219条
会員は、立木支柱の選定を行う場合には、林業架線作業主任者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 索張り方式に適した十分な負担力を有する立木を選定すること。
  • (2) 前号に定める立木が存在しないときは、なるべくこれに近い負担力を有する立木を選定し、控索、添え木等によりその強度を補強すること。
(木製支柱の組立て)
第220条
会員は、木製支柱の組立ての作業を行う場合には、林業架線作業主任者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 十分な負担力のある丸太材又は組立て柱を使用すること。
  • (2) 支柱の根元を地盤に確実に埋め込むこと。ただし、地盤が軟弱なときは、根かせを付け、又は砕石等を十分突き固めること。
  • (3) 控索で確実に固定すること。
(当て木)
第221条
会員は、作業者に、立木支柱又は木製支柱のブロック及び控索の取付け位置には、当て木を取り付けさせなければならない。
(鋼製支柱の組立て)
第222条
会員は、鋼製支柱の組立て作業を行う場合には、林業架線作業主任者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 工作仕様書に基づいて正しく組み立てること。
  • (2) 支柱の根元に負担力に耐えるような工作を施すこと。
  • (3) 控索で確実に固定すること。
(控索の方向)
第223条
会員は、元柱又は先柱の控索を張る作業を行う場合には、林業架線作業主任者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 支柱と支間側の主索とのなす角(以下「前方角」という。)より、支柱と固定された側の主索とのなす角(以下「後方角」という。)が小さいときは、後方に張ること。
  • (2) 前方角より、後方角が大きいときは、前方に張ること。
  • (3) 前方角と後方角とが等しいときは、主索に90度程度に張ること。
  • (4) 控索と主索を含む鉛直面との角度は、45度程度とすること。
  • (5) 原木の横取り等により、支柱にかかる張力が付加するおそれがあるときは、控索を二段に張る等の補強措置を講ずること。
2 会員は、向柱の控索を張る作業を行う場合には、林業架線作業主任者に、向柱にかかる力の方向の反対方向の延長線を中心として、その両側に45度程度に張らせなければならない。
(控索の支柱への取付け位置及び数)
第224条
会員は、支柱に控索の取付けの作業を行う場合には、林業架線作業主任者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 各ブロックの取り付け箇所より上方の位置に取り付けること。
  • (2) 各控索が各ブロックに接触しないようにすること。
  • (3) 控索の数は、人工支柱のときは7本以上、立木支柱のときは2本以上とし、支柱の強度により2本ずつ増すこと。
  • (4) 支柱と控索とのなす角度は、45度以上60度未満とすること。ただし、地形の関係でこの角度が45度未満又は60度以上となるときは、控索の数を増すこと。
(控索のアンカ-)
第225条
会員は、林業架線作業主任者に、控索のアンカーとして十分な支持力のある根株、岩石等を選定させなければならない。
(主索の固定)
第226条
会員は、主索を固定する作業を行う場合には、作業者に、主索の端部を立木、根株等の固定物であって堅固なものに2回以上巻き付け、クランプ、クリップ等を用いて確実に緊結させなければならない。
(作業索の取付け)
第227条
会員は、作業索の取付け作業を行う場合には、作業者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 作業索の端部をクランプ、クリップ等を用いて集材機のドラムに確実に取り付けること。
  • (2) 作業索は、2巻以上ドラムに残るようにすること。
  • (3) 作業索の端部を搬器、荷掛けフック等にシャックル又はクリップを用いて確実に取り付けること。
  • (4) 作業索が岩石その他の障害物に触れて摩擦を生ずるおそれのある箇所には、索受けローラーを設置すること。
  • (5) 固定物に取り付ける作業索は、立木、根株等の固定物で堅固なものに2回以上巻き付け、クランプ、クリップ等の緊結具を用いて確実に取り付けること。
(最大使用荷重等の表示)
第228条
会員は、集材機の据付け箇所の作業者が見やすい位置に、次の各号に掲げる事項を明示した表示板を設置しなければならない。
  • (1) 最大使用荷重
  • (2) 支間の斜距離、傾斜角及び中央垂下比
  • (3) 主索及び作業索の種類及び直径
  • (4) 林業架線作業主任者及び機械集材装置の運転に係る特別教育修了者(以下「集材機運転者」という。)の氏名
  • (5) 予定使用期間
2 会員は、機械集材装置については、前項の最大使用荷重を超える荷重をかけて使用してはならない。
(台付け索の取付け)
第229条
会員は、台付け索を支柱、根株等に取り付ける場合には、作業者に、少なくとも腹側1回は巻き付けさせなければならない。
(ガイドブロックの取付け)
第230条
会員は、台付け索にガイドブロックを取り付ける場合には、作業者に、台付け索の両端のアイの部分に、ガイドブロックのシャックルの部分を通させなければならない。
(巻過ぎ防止)
第231条
会員は、機械集材装置については、巻過防止装置を備える等、巻上げ索の巻過ぎによる作業者の危険を防止するための措置を講じなければならない。
(ブーム等の降下による危険の防止)
第232条
会員は、架線集材機械(構造上、ブーム、アーム等が不意に降下することを防止する装置が組み込まれているものを除く。)を機械集材装置の集材機として用いる場合であって、架線集材機械のブーム、アーム等を上げ、その下で修理、点検等の作業を行うときは、ブーム、アーム等が不意に降下することによる作業者の危険を防止するため、当該作業に従事する作業者に安全支柱、安全ブロック等を使用させなければならない。
2 前項の作業に従事する作業者は、同項の安全支柱、安全ブロック等を使用しなければならない。
(集材機の運転)
第233条
会員は、集材機の運転を行う場合には、集材機運転者に、次の各号に掲げる事項を守らせなければならない。
  • (1) 運転中は、運転位置を離れないこと。
  • (2) 急激な発進又は制動を行わないこと。ただし、やむを得ずこれを行ったときは、直ちに必要な箇所について点検を行うこと。
  • (3) 運転中、集材機に異常な張力がかかったときは、直ちにドラムの回転を停止し、林業架線作業主任者に連絡し、点検を行わせること。
  • (4) ワイヤロープを乱巻きの状態で巻きとらないこと。
  • (5) 集材機が異常音を発するときは、直ちに運転を停止し、点検すること。
  • (6) 巻過ぎ防止の表示を超えて巻き込まないこと。
(荷掛け作業)
第234条
会員は、荷掛け作業を行う場合には、作業者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 巻き上げの前に、荷が荷吊り索から抜けるおそれがないかを確かめること。
  • (2) 巻き上げの際には、安全な箇所に退避した後、巻き上げの合図をすること。
(荷外し作業)
第235条
会員は、荷外し作業を行う場合には、作業者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 荷が降下するときは、安全な箇所に退避すること。
  • (2) 荷外しは、荷が盤台又は地面に完全におりたことを確かめた後、行うこと。
  • (3) 盤台に墜落を防止するための表示があるときは、表示の外に出て作業をしないこと。

第3款 運材作業

(最大使用荷重等の指示)
第236条
会員は、運材索道の組立てを行う場合には、あらかじめ、林業架線作業主任者に、次の各号に掲げる事項を示さなければならない。
  • (1) 積込み場、おろし場、制動機、運材機及び支柱の位置
  • (2) 主索、復索及びえい索の種類及びその直径
  • (3) 最長支間の斜距離、傾斜角及び中央垂下比並びに支間斜距離の合計
  • (4) 最大使用荷重及び搬器ごとの最大積載荷重
(積込み場)
第237条
会員は、積込み場を設ける場合には、林業架線作業主任者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 積込み又は集積に適当な広さを有する箇所を選定すること。
  • (2) 集積及び集積箇所から荷掛け箇所への運搬作業を行うときは、原木の転落による危害が発生することのないよう防護措置を講ずること。
  • (3) 機械集材装置と交差するときは、作業索が積込み場を通らないようにすること。ただし、地形上やむを得ず作業索が積込み場を通るときは、接触防止の措置を講ずること。また、作業索の内角側とならないようにすること。ただし、地形上やむを得ず内角側となるときは、ガイドブロックの台付け索切断によるガイドブロック、作業索等の飛来による危害が発生することのないよう防護措置を講ずること。
  • (4) 荷掛け等を行うときは、墜落による危害が発生することのない箇所を選定すること。ただし、やむを得ず墜落による危害が発生するおそれのある箇所で荷掛け等を行うときは、適切な防護措置を講ずること。
  • (5) 搬器を発進させるときは、積荷が盤台、支柱等の障害物に接触するおそれのないようにすること。
(おろし場)
第238条
会員は、おろし場を設ける場合には、林業架線作業主任者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 荷おろし又は集積に適当な広さを有し、かつ、トラックへの積込みに適当な箇所を選定すること。
  • (2) 荷おろし等を行うときは、墜落による危害が発生することのない箇所を選定すること。ただし、地形上やむを得ず墜落による危害が発生するおそれのある箇所に荷おろし場を設けるときは、適当な防護措置を講ずること。
  • (3) 搬器の暴走の際に、容易に退避し得る箇所を、あらかじめ、選定しておくこと。
(支柱)
第239条
会員は、木製支柱、鋼製支柱又はサイドケーブルを設ける場合には、林業架線作業主任者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 構造は、設計に示されたとおりのものとすること。
  • (2) 部材は、設計に基づき、十分な強度のあるものを使用すること。
  • (3) 各支柱の中心線は、曲線索道の曲線部を除き、一直線とすること。
  • (4) 支柱の根元は、移動及び沈下するおそれのないよう確実に施工すること。
  • (5) 索支持金具は、その金具に適した方法により、脱落するおそれのないよう確実に取り付けること。
(主索等の固定及び支持)
第240条
会員は、主索、復索及びサイドケーブルを固定する作業を行う場合には、林業架線作業主任者に、主索、復索及びサイドケーブルの張力に十分耐え得る強度を有する立木、根株等を選定させ、又はこれらを十分な強度を有するよう補強させなければならない。
2 会員は、主索、復索及びサイドケーブルを固定する作業を行う場合には、作業者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 主索、復索及びサイドケーブルの端部を前項の立木、根株等のアンカ-に2回以上巻き付け、クランプ、クリップ等の緊結具を用いて確実に固定すること。
  • (2) 主索及び復索の径に適した支持器を使用させること。
(えい索の支持)
第241条
会員は、えい索を取り付ける作業を行う場合には、作業者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) えい索が制動機又は運材機の滑車の溝からはずれるおそれのあるときは、制動機又は運材機の前方に案内のための滑車を取り付けること。
  • (2) えい索が他の障害物に触れるおそれのある箇所には、えい索受けローラーを設置すること。
(制動機等の固定)
第242条
会員は、制動機又は運材機及び遊動車を固定する作業を行う場合には、作業者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 制動機又は運材機及び遊動車が、固定されたアンカ-からえい索の張力により離脱することのないようにすること。
  • (2) えい索が制動機又は運材機及び遊動車の溝面を正しく通るようにすること。
  • (3) 小屋がけするときは、制動操作に支障をきたさないものとすること。
(制動装置)
第243条
会員は、荷重、勾配等に適合する制動能力のある制動機を使用しなければならない。
2 会員は、制動機を使用しないで、丸太をワイヤロープに直接摩擦させて制動する装置を使用してはならない。
(最大使用荷重等の表示)
第244条
会員は、積込み場の作業者の見やすい位置に、次の各号に掲げる事項を明示した表示板を設置しなければならない。
  • (1) 最長支間の斜距離、傾斜角及び中央垂下比
  • (2) 支間斜距離の合計
  • (3) 最大使用荷重
  • (4) 搬器ごとの最大積載荷重
  • (5) 主索、復索及びえい索の種類及び直径
  • (6) 搬器間隔
  • (7) 林業架線作業主任者及び制動機又は運材機の運転者の氏名
  • (8) 予定使用期間
2 会員は、運材索道については、前項第3号の最大使用荷重及び同項第4号の搬器ごとの最大積載荷重を超える荷重をかけて使用してはならない。
(搬器の取付け)
第245条
会員は、運材作業を行う場合には、作業者に、搬器を確実にえい索に取り付けさせなければならない。
(荷掛け作業)
第246条
会員は、作業者に、荷掛け作業を行わせる場合には、次の各号に掲げる事項を守らせなければならない。
  • (1) 搬器ごとの最大積載荷重を超えて荷掛けを行わないこと。
  • (2) 巻上げの前に、荷が荷吊り索から抜け落ちるおそれのないよう確実に緊結すること。
  • (3) 巻上げの際には、安全な箇所に退避した後、巻上げの合図をすること。
(荷外し作業)
第247条
会員は、荷外し作業を行う場合には、作業者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 荷が停止してから荷外し作業を開始すること。
  • (2) 荷をおろすときは、原木の転動により危害の生ずるおそれのない位置で行うこと。
  • (3) 荷吊り索を長く下げたままで空搬器の返送をしないこと。
  • (4) おろし場における原木の整理は、えい索の動きに注意して行うこと。
(運材索道の運転作業)
第248条
会員は、運材索道を運転する場合には、制動機を操作する作業者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
  • (1) 運転中は、運転位置を離れないこと。
  • (2) 急制動をしないこと。ただし、やむを得ず急制動を行ったときは、全線にわたって点検すること。
  • (3) ブレーキを加熱させないこと。
  • (4) 異常を認めたときは、直ちに運転を中止し、点検すること。