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災害事例研究 No.119 【木材製造業】

ベルトコンベヤーの回転軸に作業服を巻き込まれ死亡

 ベルトコンベヤーの、カバーを設けていない回転軸に近づいたため、作業服の上着の裾が回転軸に巻き込まれ、作業服で首を絞められ窒息死したもの。

災害の発生状況

  1. 当該事業場は製材業を営んでおり、労働者を11 人雇用している。災害が発生したエリアでは、作業員1人で木材を加工機械で縦引き後、幅広のベルトコンベヤーで流して、それを別の幅が狭いベルトコンベヤーに移して、最終的にはチップ処理をする作業に従事していた。
  2. 幅広のベルトコンベヤー上の材が、幅が狭いベルトコンベヤーに上手く落ちるように、時々材の均し作業をしていた。
  3. 被災者が幅広のベルトコンベヤー端の回転軸に近づいたところ、作業服の上着の下端が回転軸の止め具の溝に引っ掛かり巻き込まれた。
  4. そのまま作業服が回転軸にからまり、被災者の首が絞められて窒息状態になっているところを同僚に発見されて、病院に運ばれたが死亡した。

災害の発生原因

  1. 回転軸に覆い、囲い等を設けていなかったこと。
  2. 作業服の裾が巻き込まれやすい状態であったこと。
  3. 木材加工用機械作業主任者を選任して、作業の直接指揮をさせていなかったこと。
  4. 安全衛生推進者を選任して、安全管理をさせていなかったこと。
  5. 危険予知活動、リスクアセスメントを実施していなかったこと。

災害の防止対策

  1. 回転軸に覆い、囲い等を設けること。
  2. 裾締りのよい作業服を適正に着用すること。
  3. 木材加工用機械作業主任者を選任して、作業の直接指揮をさせること。
  4. 安全衛生推進者を選任して、災防規程で定める安全管理をさせること。
  5. 危険予知活動、リスクアセスメントを継続的に実施すること。
    casestudy119

林業・木材製造業労働災害防止規程〈抜粋〉

(安全衛生管理体制の整備)
第6条 会員は、関係法令の定めるところにより、当該事業場の業種及び規模に応じて、次の各号に掲げる安全衛生管理体制を整備しなければならない。
(1) 総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者又は安全衛生推進者を選任し、作業者の危険又は健康障害を防止する等の業務を行わせること。
(2)~(4) 略
(安全管理者等の職務)
第7条 会員は、総括安全衛生管理者に、安全管理者、衛生管理者を指揮して次の業務を総括管理させなければならない。
(1) 作業者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
(2) 作業者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
(3)~(4)略
(5) リスクアセスメントに実施に関すること。
2 略
3  会員は、安全衛生推進者に、1項各号の業務を担当させなければならない。(危険予知活動等)
第15条 会員は、危険予知ミーティング、指差し呼称を行う等の自主的労働災害防止の実施に努めなければならない。
(林材業リスクアセスメントの実施)
第16条 会員は、作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更した時は、関係法令に定めるところにより、建設物、設備、原材料、工具等による又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等の調査(以下この条において「リスクアセスメント」という。)を行い、その結果に基づいて、必要な措置を講じなければならない。
2  会員は、リスクアセスメント実践マニュアル等を活用して、定期的にリスクアセスメントを行うように努めなければならない。
(作業帽等の着用)
第262条 会員は、木材加工用機械及びその他の機械を用いて木製品を製造する作業並びにこれに伴う作業(以下「木材製造・加工等作業」という。)を行う作業者の服装等については、次の各号に掲げる事項を守らせなければならない。
(1) 袖締まり、裾絞まりのよい作業服を着用する等安全な作業を行うことができる服装とすること。
(2)~(5) 略
(回転軸等による危険の防止)
第291条 会員は、木材加工用機械(リッパ及びギャングリッパを含む。以下本款において同じ。)の原動機、回転軸、歯車、プーリー、ベルト等で作業者に危険を及ぼすおそれのある部分には、覆い、囲い、スリーブ、踏切橋等を設けなければならない。
2  会員は、回転軸、歯車、プーリー、フライホイール等に附属する止め具については、埋頭型のものを使用し、又は覆いを設けなければならない
3~4 略
(木材加工用機械作業主任者等の選任)
第312条 会員は、木材加工用機械(丸のこ盤、帯のこ盤、かんな盤、面取り盤及びルーター)を5台以上(自動送材車式帯のこ盤が含まれている場合は3台以上)有する作業場において、木材加工用機械による作業を行う場合には、木材加工用機械作業主任者技能講習を修了した者のうちから、木材加工用機械作業主任者を選任しなければならない。
2~3 略
(木材加工用機械作業主任者の職務)
第313条 会員は、木材加工用機械作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。
(1) 木材加工用機械を取り扱う作業を直接指揮すること。
(2) 木材加工用機械及びその安全装置を点検すること。
(3) 略