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災害事例研究 No.164 【木材製造業】

フォークリフトで養生ブルーシートを運搬作業中、ブルーシートの荷崩れを直そうとして、マストとヘッドガードに挟まれる

製材工場で加工された建築資材用角材を養生するため、折りたたまれたブルーシート5枚をフォークリフトで運搬していたところ、最上部のブルーシートが荷崩れし、荷崩れを直そうとして、フォークリフトのマストとヘッドガードフレームに胸部を挟まれた。

災害の発生状況

 被災者は、製材工場で加工された角材を養生するブルーシートを運搬するため、フォークリフト(エンジン式:最大荷重1.5トン)に折りたたまれたブルーシート5枚(たて約60cm×よこ約90cm×積高150cm)をパレット上に載せてフォークリフトを発進させた。
 発進させて直ぐ、最上部のブルーシートがずれていることに気づいた被災者(運転者)は、フォークリフトを停止させ、エンジンを止めないまま運転席前面の計器盤(メーターパネル)の上に乗り、両マストの間から上体を乗り出し、最上部のブルーシートのズレを直していたところ、踏ん張った右足が滑り、右足近くにあったチルトレバー(マストの前後傾操作用レバー)に触れ、背部にあるヘッドガードフレームとマストの間に胸部を挟まれ重傷を負ったものである。

災害の発生原因

  1. フォークリフトの運転中に積荷(ブルーシート)のズレを整える場合に、フォークリフトの運転を停止させてから荷の調整等を行わなかったこと。
  2. 積荷(ブルーシート)のズレを整えるため、フォークリフトの運転を停止した上での適切な作業手順を定めていなかったこと。

災害の防止対策

  1. フォークリフトの運転中に積荷(ブルーシート)のズレが発生しないように、ロープ、垂直バンド等で荷崩れ防止対策を講じること。
  2. フォークリフト運転中に運転席から離れるときは、フォークを最下位(地面)まで下げ、エンジンを停止させ、キーをはずし、ブレーキを確実にかけてから次の作業を行うこと。
  3. フォーク上の運搬物が荷崩れを起こしたときは、計器盤やマストなどの機体の一部を足場にすることなく、上記1の措置を講じたうえで運転席から降りて脚立等の安全に昇降できる設備を使用して荷崩れを直すこと。
  4. フォークリフトで荷の運搬作業を行うときは、積荷のズレを直すための適切な作業手順方法を示した手順書を作成し、作業手順書に基づいた安全教育を行うこと。
  5. フォークリフトによる作業を行う場合は、あらかじめ作業場所の広さ及び地形、使用するフォークリフトの能力、荷の重量、種類及び形状に適用する作業計画を定めること。
  6. フォークリフトによる作業について、リスクアセスメント等を定期的に実施すること。

〈労働安全衛生規則〉
(荷の積載)
第151条の10 事業者は、車両系荷役運搬機械等に荷を積載するときは、次に定めるところによらなければならない。
一 偏荷重が生じないように積載すること。
二 不整地運搬車、構内運搬車又は貨物自動車にあっては、荷崩れ又は荷の落下による労働者の危険を防止するため、荷にロープ又はシートを掛ける等必要な措置を講ずること。

(運転位置から離れる場合の措置)
第151条の11 事業者は、車両系荷役運搬機械等の運転者が運転位置から離れるときは、当該運転者に次の措置を講じさせなければならない。
一 フォーク、ショベル等の荷役装置を最低降下位置に置くこと。
二 原動機を止め、かつ、停止の状態を保持するためのブレーキを確実にかける等の車両系荷役運搬機械等の逸走を防止する措置を講ずること。
2 前項の運転者は、車両系荷役運搬機械等の運転位置から離れるときは、同項各号に掲げる措置を講じなければならない。

〈林業・木材製造業労働災害防止規程〉
(作業計画)
第442条 会員は、フォークリフトを用いて作業を行うときは、あらかじめ、作業場所の広さ及び地形、使用するフォークリフト能力、荷の重量、種類及び形状等に適用する作業計画を定め、その作業計画により作業を行わなければならない。
2 (略)
3 会員は、第1項の作業計画を定めたときは、前項の規定により示される事項について関係作業者に周知させなければならない。

(フォークリフトを離れるときの措置)
第455条 会員は、運転者が運転位置から離れる場合には、次の各号に掲げる事項を守らせなければならない。
(1) フォークをおろし、エンジンを止め、キーをはずし、ブレーキを確実にかけること。
(2) 傾斜している場所では、前号のほか、変速レバーを最低速に切り換え、車輪に歯止めをすること。