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災害事例研究 No.171 【木材製造業】

集じん装置の稼働状況を点検中、点検用の蓋から手を入れて、スクリュー式送り出し装置に指を巻き込まれる

木材木製品加工工場で、丸のこ盤などの木材加工用機械の切り屑を捕捉する集じん装置の屑送り出しが不良となったため、点検用の蓋から手を入れて屑を除去しながらサイロ内を掃除していたところ、サイロ底部で回転しているスクリュー式送り出し装置に指を巻き込まれた。

災害の発生状況

 工場では、丸のこ盤などの木材加工用機械の切り屑を捕捉するための吸い込みフードがつまり、屑送り排出が不良となった。このため被災者は集塵装置を確認したところ、集まった屑が溜まるサイロ内で屑が付着して詰まっていたため、被災者は集塵装置を停止しないまま、サイロ側面にある点検用の蓋を開け、軍手をした右手を差し入れて、手が届く範囲で詰まった屑を除去しながらサイロ内を掃除していた。その際、相当量の屑の塊が落下し、右手が塊によって下方へ数十センチ一気に押し下げられ、サイロ内の底部で回転していたスクリュー式送り出し装置に指を巻き込まれて、指3本を切断する重症を負った。

災害の発生原因

  1. 集じん装置を停止せずにサイロ内の屑の塊除去作業を行ったこと。
  2. 集じん装置に生じたトラブル等について、安全かつ適正に処理するための作業手順書を定めていなかったこと。
  3. 安全衛生推進者(規模10人以上50人未満の事業場)を選任しておらず、掃除等の際の危険防止に係る安全管理に不備があったこと。
  4. リスクアセスメントを実施して、事業場にある危険性や有害性等の調査及びその結果に基づく措置を講じていなかったこと。

災害の防止対策

  1. 集じん装置の非定常作業について、作業手順書を定め、点検蓋を開ければ機械が停止する構造のインターロックを取るなど同種災害防止に努めること。
  2. 集じん装置はスクリュー式送り出し装置と一体で、スイッチ操作により始動・停止を行うものであるが、作業手順の第一に機械を止めることを確実に行うこと。
  3. 安全衛生推進者を選任し、集じん機の点検内容、点検時期、回数等を管理しておくこと。
  4. リスクアセスメントを実施すること。実施の際は、事業場における危険性や有害性の特定、リスクの見積り、優先度の設定、リスク低減措置を決定し関係労働者に周知すること。

機械の運転停止の徹底を!!

 機械の掃除・検査・修理・調整等(トラブル・不具合対応等)の作業を行う際は、必ず機械の運転を停止しましょう!! 機械の運転を停止せずに、上記のような作業を行なったことを原因とする労働災害が多発しています!!
 林災防では、林材業労働災害防止計画(5カ年計画)のなかで、非定常作業における機械の運転停止を労働災害防止対策重点対策の一つとして取り組んでいるところです。

〈労働安全衛生規則〉
(掃除等の場合の運転停止等)
労働安全衛生規則第107条
1 事業者は、機械(刃部を除く。)の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない。ただし、機械の運転中に作業を行わなければならない場合において、危険な箇所に覆いを設ける等の措置を講じたときは、この限りではない。
2 事業者は、前項の規定により機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠を掛け、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止することを防止するための措置を講じなければならない。

(安全衛生推進者等の選任)
労働安全衛生法第12条の2、労働安全衛生規則第12条の3
製造業において、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場は、安全衛生推進者を選任し、その者に労働安全衛生法第10条第1項各号の業務を担当させなければならない。
労働安全衛生法第10条第1項各号とは、
一 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
二 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
三 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。
四 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
五 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの。
さらに、安全衛生推進者の具体的な職務は、
① 施設、設備等の点検及び使用状況の確認並びにこれらの結果に基づく必要な措置に関すること。
② 作業環境の点検及び作業方法の点検並びにこれらの結果に基づく必要な措置に関すること。
③ 健康診断及び健康の保持増進のための措置に関すること。
④ 安全衛生教育に関すること。
⑤~⑧ 略
(昭63・9・16 基発第602号)

〈林業・木材製造業労働災害防止規程〉
(リスクアセスメントの実施)
第477条
1 会員は、非定常作業実施に当たっては、作業内容と関連するリスクを事前に網羅的に把握し、抽出されたリスクに関する情報を関係者間で共有し、必要に応じて管理的対策も検討に努めなければならない。
2 略

(異常処理作業における作業手順書の作成)
第479条
1 会員は、異常処理作業の実施に当たり、あらかじめ作業手順書の作成に努めなければならない。また、必要に応じ作業手順書の見直し及び変更を行うように努めなければならない。
2 会員は、前項に定める作業手順書の作成に当たり、次の事項を念頭に作成に努めなければならない。
⑴ あらかじめ想定される故障、作業の実態、災害事例等をもとに、対象となる非定常作業の危険性及び有害性の調査及び選定を行うこと。危険性および有害性の調査及び選定は、作業者も参加させ定期的に実施すること。
⑵ 略

(異常処理作業の実施)
第480条 会員は、異常処理作業の実施に当たり、前条に定める非定常作業手順書に基づくとともに、特に次の事項に留意して実施に努めなければならない。
⑴ 設備の異常発生時、指名者はまず設備を停止し、電源スイッチを切りスイッチキーを抜き取ること。それが困難な場合には、操作禁止札を取り付けること。
⑵ 設備の異常発生時、指名者以外の作業者は、設備又は作業を停止し、管理・監督者に報告の上指示を待つこと。
⑶ 頻度の多い異常処理作業は、定期的に作業手順書等の確認や見直しを、職場の安全活動の一部として継続すること。
⑷~⑸ 略
⑹ 非定常作業に当たっては、「止める、呼ぶ、待つ」を日頃から徹底すること。