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災害事例研究 No.25 【木材製造業】

構内で棚卸し中の作業者がフォークリフトにひかれる

 製材工場の構内において、棚卸しのため板材の枚数を数えていた被災者が、梱包された製品を防カビ処理するため取りに行く途中のフォークリフト(最大積載荷重2.9トン)に轢かれて死亡したものである。

災害発生の状況

  1. 当該製材工場は、スギ、ヒバ等の針葉樹を主体とする一般製材業を営んでいる。
  2. この製材工場の作業工程は、次のとおりである。
    ① バーカーによる原木の皮剥き
    ② 自動送材車式帯のこ盤による製材大割
    ③ 帯のこ盤、丸のこ盤による製材小割
    ④ 製材した板材・角材等の仕分け、結束及び梱包
    ⑤ 梱包された板材・角材等の防カビ処理
    ⑥ 出荷
  3. 工場で製材した板材・角材等や梱包された板材・角材等は、毎月1回及び3ヶ月に1回、棚卸しとして全作業員一斉に残数を数える。
  4. 災害発生当日は、午前8時から各班ごとにミーテングを行い、その後、午後3時まで各人はそれぞれの担当場所で、製材、仕分け、結束、カビ止め等の作業を行った。
  5. 当日は月末であったため、午後3時の休憩後の3時10 分から全てのラインを止めて、全作業員一斉に残数を調べることになっていた。
  6. 被災者は、午後3時の休憩終了後、小割工場の前に積まれていた板材(高さ2.85m、巾1.1m、長さ3.8mが2列)の木口側正面に立って残数を調べる業務に従事していた。
  7. フォークリフト運転手Aは、小割工場の前に置かれていたカビ止めの済んでいない板材の梱包(3.5cm×3.5cmの角材、高さ0.6m、巾1.0m、長さ3.6m)をカビ止めするため、フォークリフトを運転し、小割工場へ梱包を取りに行った。
  8. Aは被災者が残数を調べていた小割工場の前に積まれている板材の横を右折した際、木口側正面に立って残品調べ作業に従事していた被災者を発見して急ブレーキをかけたが間に合わず、被災者を右前輪で轢いた。フォークリフトは、仰向けに倒れた被災者の右肩に右前輪が乗り上げた状態で停止した。

災害発生の原因

  1. 板材の置く位置を、フォークリフトの運行経路上としたにもかかわらず、作業者とフォークリフトの接触を防止する対策を講じていなかったこと。
  2. 板材を高く積んでいたため、作業者の位置がフォークリフトの運転席から見て、板材の死角になっていたこと。
  3. 作業計画が書面等により具体的に定められていなかったこと。
  4. フォークリフトの制限速度を定めていなかったため、フォークリフトの運転者が、20~25km/h)で走行し、ブレーキを踏んだが間に合わなかったこと。
    casestudy025

災害防止対策

  1. 運行経路、作業方法等を示した適切な作業計画を定め、関係労働者に周知を図ること。
  2. 制限速度を設定し、その順守を徹底させること。また、必要により、運行経路に制限速度を示す掲示等を設置すること。
  3. フォークリフトの運行経路に従業者が立ち入らないように、フォークリフトの通行区分、従業者の通行区分、作業位置の区分等を示すラインを引く等接触防止措置を講 ずること。
  4. 残品調べは、フォークリフトの運行経路内で作業することのないような場所において行うこと。