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災害事例研究 No.4 【木材製造業】

モルダーに送給した木材が反発し、胸部に突き刺さる

高速自動4面かんな盤(以下「モルダー」という。)を使用し、住宅用下地材を加工作業中、送給した木材が反発し、被災者の胸部に突き刺さった。

casestudy004-2109

災害発生の状況

  1. 当該工場は、木材を加工し、住宅用の柱、下地材等を製造していた。
  2. 災害発生当日、被災者は、当該工場内において同僚と2名で下地材の加工作業を行っていた。
  3. 被災者は午前8時から、モルダーを使用し、幅4.5cm×厚さ3.7cm×長さ2.7mの木材を、幅4.2cm×厚さ3.6cm×長さ2.7mに加工する作業に従事していた。
  4. その後、11時頃からモルダーを使用し、幅15.0cm×厚さ1.8cm×長さ2.8mの木材を、モルダー内の縦挽き丸のこを作動させ、幅6.9cm×厚さ1.7cm×長さ2.8mのものに2つ割りに加工することとなった。
  5. 被災者は、モルダーの正面に立ち、木材を供給する作業を行い、同僚は先取り作業を行っていたが、木材を送給したところ、2つ割りに加工された一方が反発し、被災者の胸部に突き刺さった。

災害発生の原因

  1. モルダーには、当初2箇所に反発予防装置が設置されていたが、過去にも同機において同様の災害が発生したのを受け、この2箇所とは別に新たな1箇所に反発予防装置を丸のこ(5軸前)に設置したが、被災当時、この1箇所は取り外されていたこと。
  2. 当初、2箇所の反発予防装置のうち1箇所はテーブルに接していたが、もう1箇所は木材の厚さより広い3.4cmの間隙があり、反発を防止することができなかったこと。
  3. 反発予防装置の調整等に関する作業手順が守られていなかったこと。
  4. 縦挽きする木材の正面に立って作業をしたこと。

災害防止対策

  1. 反発予防装置は、木材の形状等に応じて、確実に機能するよう調整すること。
  2. 作業方法等で特に必要がある場合を除き、設置した反発予防装置を取り外す等を行ってはならないこと。なお、取り外した場合は別途安全措置を講じること。
  3. 定期または随時に安全教育を実施し、作業手順の周知・確認と遵守徹底を図ること。
  4. 作業位置は、木材が反発する恐れのある箇所の正面を避けること。

 木材加工作業においては、木材が反発し作業者に当たり死亡する例が時々見られるところです。
 安全装置については、労働安全衛生規則第28条で、「安全装置が有効な状態で使用されるよう点検及び整備」を行うよう定めており、また、林業・木材製造業労働災害防止規程第180条においても同様のことが規定されています。
 また、木材加工用機械作業主任者の職務については、労働安全衛生規則第130条で「安全装置の点検、安全装置に異常を認めたときは、直ちに必要な措置をとる」ことが規定されています。
 これらの事項は、事業場の安全管理体制のあり方そのものが問われることになります。
 本事例を参考に、労働災害防止活動の安全管理全般について再度見直して下さい。