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災害事例研究 No.62 【木材製造業】

プレカット工場において、自動送材装置と木材の間に挟まれる

 横架材加工機システムが停止していたため、被災者は、木材供給装置の上に載っていた木材を載せ直したところ、システム全体が動き出し、木材と自動送材装置の間に挟まれた。

災害発生の状況

 当該事業場では、木造家屋用の柱材等のプレカット加工を行っている。

 災害発生時は昼休み中であったが、横架材加工機システムが停止し、横架材加工機からエラー音が鳴っており、たまたま近くを通りかかった被災者が近づいたところ、自動送材装置に木材(21cm×10.5cm×2mのテストピース)が斜めに載っていた。

 そのため、被災者は、木材供給装置に載っている木材と自動送材装置の間に入り、斜めに載っていたテストピースを手で正しく載せ直したところ、自動送材装置のセンサーが感知して横架材加工機システム全体が動き出し、木材供給装置が次の木材を自動送材装置方向に送り出したため、被災者は自動送材装置と木材に挟まれた。

 なお、被災者は、加工済み木材集積場所で作業する作業者であった。
 木材供給装置と自動送材装置の一連の動きは、以下のとおりである。

  1. 木材供給装置から、木材(本件においてはテストピース)が自動送材装置に載せられる。
  2. 自動送材装置のセンサーが反応し、木材が最初の木材加工用機械に送られると同時に、木材供給装置の木材が自動送材装置の脇に寄せられ、木材供給装置のセンサーが反応すると停止する。
  3. 自動送材装置のセンサーが反応しなくなると、木材供給装置から木材が自動送材装置に載せられる。
    また、木材供給装置に木材を載せた後は、加工済み木材集積場所に排出されるまで、原則、人手を介在することなく、全て自動で処理する装置である。

災害発生の原因

  1. 木材供給装置(横架材加工機の自動送材装置)に非常停止装置が設けられていなかったこと。
  2. 木材の載せ直しの作業手順を、明確に作成していなかったこと。
  3. 機械の運転を停止していない状態でも、容易に挟まれる位置に立ち入ることができたこと。
  4. 機械の操作及び作業の手順に関する教育が関係作業者に周知されていなかったこと。
    casestudy062

災害防止対策

  1. 機械に挟まれる、又は巻き込まれるおそれのある場所に非常停止装置を設置すること。
    (参考)平成25 年10 月1日から、機械の「調整作業」が、機械の運転停止業務に追加された。(安衛則第107条)
  2. 機械に挟まれる、又は巻き込まれるおそれのある場所には、インターロック等、機械の運転を停止しなければ、危険箇所に近づくことができないような柵等を設けること。
  3. 加工済み木材集積場所でしか作業を行わない作業者に対しても、一連の木材加工用機械全体についての安全教育を行うこと。
  4. 木材の載せ直し等、エラー発生時の作業手順を明確に定め、注意標識により表示し、作業者に周知徹底すること。

安衛則第107条(掃除等の場合の運転停止等)

  1. 事業者は、機械(刃部を除く。)の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない。
     ただし、機械の運転中に作業を行わなければならない場合において、危険な箇所に覆いを設ける等の措置を講じたときは、この限りでない。
  2. 事業者は、前項の規定により機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠を掛け、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止するための措置を講じなければならない。

留意事項 「平成25 年4 月12 日付基発第0412 第13 号通達」

  1. 第1項の「調整」の作業には、原材料が目詰まりした場合の原材料の除去や異物の除去等、機械の運転中に発生する不具合を解消するための一時的な作業や機械の設定のための作業が含まれること。
  2. 第1項の機械の運転停止に関して、機械の運転を停止する操作を行った後、速やかに機械の可動部分を停止させるためのブレーキを備えることが望ましいこと。
  3. 第1項ただし書きの「覆いを設ける等」の「等」には、次の全ての機能を備えたモードを使用することが含まれること。なお、このモードは、「機械の包括的な安全基準に関する指針」(平成19 年7月31 日付け基発第0731001 号)の別表第2の14(3)イに示されたものであること。
    ア 選択したモード以外の運転モードが作動しないこと。
    イ 危険性のある運動部分は、イネーブル装置、ホールド・ツゥ・ラン制御装置又は両手操作式制御装置の操作を続けることによってのみ動作できること。
    ウ 動作を連続して行う必要がある場合、危険性のある運動部分の動作は、低速度動作、低駆動力動作、寸動動作又は段階的操作による動作とすること。
  4. 第1項の「調整」の作業を行うときは、作業手順を定め、労働者に適切な安全教育を行うこと。
  5. 第2項の「当該機械の起動装置に表示板を取り付ける」措置を講じる場合には、表示板の脱落や見落としのおそれがあることから、施錠装置を併用することが望ましいこと。