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災害事例研究 No.112 【林業】

カットバーカー式原木皮むき機に頭部を挟まれて被災

 カットバーカー式原木皮むき機(以下「皮むき機」という。)の運転を停止せずに、機械に近づいたため、頭部を挟まれて被災した。

災害の発生状況

  1. 災害が発生した事業場は原木の皮むき業を営んでおり、災害が発生した屋外作業場では、作業員1人が原木をフォークリフトで皮むき機のタイヤ部分に乗せ、操作室でスイッチを入れ、原木の皮むき作業を行っている。
    皮むき機は、タイヤが原木を回転させ、回転する原木上を何回かバーカーが往復して皮をむいて行く機械であり、原木の形状により、皮だけを上手にむくために、バーカーの上下作動とか移動スピードを変えたりしなければならない操作が必要である。バーカーにはブロック状の刃物が付いていて、その刃物を高速回転させて原木の皮をむくようになっている。
  2. 何らかの機械トラブルか、皮むき中の原木に不具合が起こったので、被災者は様子を見るべく機械の運転スイッチを切ることなく、加工中の原木に近づき、頭部を機械に挟まれたものと推定される。なお、機械のどの部分に頭部を挟まれたのかは不明である。

災害発生の原因

  1. 現認者がいないので、なぜ被災者が作動中の皮むき機に近づいたのかは不明であるが、機械の運転を停止せずに近づいて、頭部を機械に挟まれたこと。
  2. 機械の作動中は、機械を停止することなく近づかないよう安全教育を実施していなかったこと。
  3. 作業者が皮むき機に近づいて接触しないように、覆い、囲い等を設けていなかったこと。
  4. 安全作業手順書を作成して周知していなかったこと。
  5. 危険予知活動を実施していなかったこと。
  6. リスクアセスメントを実施していなかったこと。

災害防止対策

  1. 作業者が皮むき機に近づいて接触しないように、覆い、囲い等を設けること。
  2. 覆い、囲い等を設けることが困難な時は、作動中の機械に作業者が近づいた時に、機械が非常停止する感知式の自動停止装置を設けること。
  3. 安全作業手順書を作成して周知するとともに、安全教育を実施し、機械の作動中は、機械を停止することなく近づかないことを徹底させること。
  4. 危険予知活動を実施して安全に対する意識を高めること。
  5. リスクアセスメントを実施すること。
    casestudy112

林業・木材製造業労働災害防止規程〈抜粋〉

(木材剥皮機械作業時の立入禁止)
第354条 会員は、木材剥皮機械稼動中に、当該機械及び関連するコンベヤー等の危険場所に作業者を立ち入らせてはならない。
2 会員は、開口部から木材剥皮機械可動部分に転落又は接触することにより、作業者に危険が生ずるおそれのあるときは、囲い、柵等を設けなければならない。

(原動機、回転軸等による危険の防止)
第355条 会員は、木材剥皮機械に附属するコンベヤー等の駆動原動機、回転軸等に作業者が接触しないように、覆い、囲い等を設けなければならない。

(非常停止装置の設置)
第357条 会員は、木材剥皮機械作業者が、身体の一部を巻き込まれる危険等のおそれがあるときは、非常の場合に直ちに木材剥皮機械並びにコンベヤーの運転を停止することができる「非常停止装置」を備えなければならない。

(そうじ等の場合の運転停止等)
第360条 会員は、木材剥皮機械設備(附属するコンベヤーを含む)のそうじ、注油、検査、修理の作業又は調整を行う場合において、作業者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない。

(危険予知活動等)
第15条 会員は、危険予知ミーティング、指差し呼称を行う等の自主的労働災害防止の実施に努めなければならない。

(林材業リスクアセスメントの実施)
第16条 会員は、作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更した時は、関係法令に定めるところにより、建設物、設備、原材料、工具等による又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等の調査(以下この条において「リスクアセスメント」という。)を行い、その結果に基づいて、必要な措置を講じなければならない。

(新規就業時等の安全衛生教育の実施)
第18条 会員は、作業者を雇い入れたとき、又は作業の内容を変更したときは、その作業者に対してその従事する業務に関する安全衛生教育を行わなければならない。