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災害事例研究 No.137 【林業】

原木の積込み作業中、原木が外れて激突した

 移動式クレーンで原木の積込み作業中、仮置きしていた原木に当たって跳ね返り、誘導者に激突。

災害の発生状況

 同僚と2人で移動式クレーンを用いて、長さ4mの原木をトラックに積込む作業に従事していた。同僚が移動式クレーンを操作し、被災者は「かにばさみ状の玉掛け用具」を用いて丸太の玉掛けを行い、つり上げた後、トビを用いて原木の誘導を行っていたところ、つり上げた原木が傾き地面に仮置きしていた原木に当たり、その弾みで玉掛けのはさみ部分の片側が外れて原木が跳ね返り、被災者の背中と頭部に激突した。被災者は保護帽を着用していなかった。
casestudy137

災害発生の原因

  1. 玉掛けが1点つりで原木の重心を捉えていなかったこと。
  2. 荷の下に被災者が立ち入ったこと。
  3. トビを用いて原木の誘導を行ったこと。
  4. 合図者を指名していなかったこと。
  5. 保護帽を着用していなかったこと。
  6. 事前に作業方法と手順について打ち合わせが不十分であったこと。

災害の防止対策

  1. 玉掛けにより荷をつり上げるときは、地切りのため、約10cmの高さで一旦停止し、つり荷の安定(振れ・傾きのないこと)を確認すること。
  2. 荷の下に立ち入らないこと。
  3. 荷の誘導には介錯ロープ等を使用すること。
  4. 合図者を指名すること。
  5. 保護帽を着用すること。
  6. 事前に作業方法と手順について十分打ち合わせを行い、作業手順書を作成し、作業者全員で共有すること。

〈クレーン等安全規則〉

(立入禁止)
第74条 事業者は、移動式クレーンに係る作業を行うときは、当該移動式クレーンの上部旋回体と接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。
第74条の2 事業者は、移動式クレーンに係る作業を行う場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、つり上げられている荷(第6号の場合にあっては、つり具を含む。)の下に労働者を立ち入らせてはならない。
1~2 略
3  ワイヤロープ等を用いて一箇所に玉掛けをした荷がつり上げられているとき(当該荷に設けられた穴又はアイボルトにワイヤロープ等を通して玉掛けをしている場合を除く。)。
4~6 略

〈災防規程〉

(運転の合図)
第474条 会員は、作業者にクレーン等を用いて作業を行わせるときは、合図者を指名し、その者に次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。ただし、玉掛けを要しない場合であって、クレーン等の運転者に単独で作業を行わせるときは、この限りではない。
 (1) 略
 (2) つり荷の下方又はつり荷の移動させる方向に人がいないことを確認した後、荷の移動の合図を行うこと。
 (3) 荷をつり上げるときは、フックが荷の重心の真上にきたことを確認した後、微動でつり上げの合図をし、玉掛け用ロープが緊張して地切れしたときに一時停止の合図をし、つり荷の荷くずれ、脱落等のおそれがないことを確認した後、つり上げの合図を行うこと。
 (4)~(5) 略