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災害事例研究 No.149 【林業】

アカマツ偏心木を伐倒作業中、伐倒方向が変わり、近くで作業していた被災者に激突

 同僚が偏心したアカマツ立木をチェーンソーで伐倒する作業を行っていたところ、予定と違う方向に倒れ、立入禁止区域内にいた被災者に激突した。

災害の発生状況

 被災者は、同僚と2人でスギ人工林(林齢約40年生)の伐木造材(間伐)作業に従事していた。
 同僚が、事業地内の谷側に偏心した天然性のアカマツ立木(胸高直径30cm、樹高約20m)を伐倒するため、受け口切りを行ったところ、受け口の下切りと斜め切りの切り終わりの部分が一致していなかったが、同僚は、受け口を修正することなく、追い口切りを行ったところ、追い口を切りすぎて、当初予定した方向とは違う方向に倒れ、隣接して伐倒作業をしていた被災者にアカマツの伐倒木が激突した。
 なお、同僚は、偏心木であったアカマツの樹形の事前確認を行っていなかった。
casestudy149

災害発生の原因

  1. 同僚は他の作業者が立入禁止区域内(伐倒木の樹高の2倍相当)から確実に退避したことを確認せず、伐倒の合図もしないまま伐倒したこと。
  2. 受け口切り及び追い口切りを適切に行わず、くさびも使用していなかったこと。
  3. 伐倒する立木が偏心木かつ胸高直径30cmであったにもかかわらず、追いづる切り等の措置を行っていなかったこと。

災害の防止対策

  1. 隣接して伐倒作業を行う場合は、伐倒しようとする立木それぞれの高い方の樹高の2.5倍相当離れて作業を行うよう山割りを行うこと。
  2. 伐倒に当たっては、予備合図、本合図を行うとともに、他の作業者が確実に退避したかを必ず確認すること。
  3. 受け口の深さ(伐根直径の4分の1以上(胸高直径70cm以上は3分の1))、受け口の下切り面と斜め切り面の角度(30度~45度)と終わり部分の一致、追い口の位置(受け口の高さの下から3分の2)及び切り込みの深さ(切り残し(つる)幅を伐根直径の10分の1程度残す)、くさびの使用により伐倒するという基本事項を徹底すること。
  4. 伐倒作業にあたり、事前に上方(枝がらみ、つるがらみ)、周囲の状況、伐倒する立木の樹種、樹形、偏心木か否か、裂け易い木、伐倒方向などを確認し、安全で確実に倒せる方向や伐倒方法を選定する。

〈労働安全衛生規則〉

(伐木作業における危険の防止)
第477条 事業者は、伐木の作業(伐木等機械による作業を除く。以下同じ。)を行うときは、立木を伐倒しようとする労働者に、それぞれの立木について、次の事項を行わせなければならない。
 一~二 略
 三  伐倒しようとする立木の胸高直径が20センチメートル以上であるときは、伐根直径の4分の1以上の深さの受け口を作り、かつ、適当な深さの追い口を作ること。この場合において、技術的に困難である場合を除き、受け口と追い口の間には、適当な切り残しを確保すること。
2  立木を伐倒しようとする労働者は、前項各号に掲げる事項を行わなければならない。
(伐倒の合図)
第479条 事業者は、伐木の作業を行なうときは、伐倒について一定の合図を定め、当該作業に関係がある労働者に周知させなければならない
2  事業者は、伐木の作業を行う場合において、当該立木の伐倒の作業に従事する労働者以外の労働者(以下この条及び第481条第2項において「他の労働者」という。)に、伐倒により危険を生ずるおそれのあるときは、当該立木の伐倒の作業に従事する労働者に、あらかじめ、前項の合図を行わせ、他の労働者が避難したことを確認させた後でなければ、伐倒させてはならない
3  前項の伐倒の作業に従事する労働者は、同項の危険を生ずるおそれのあるときは、あらかじめ、合図を行ない、他の労働者が避難したことを確認した後でなければ、伐倒してはならない
(立入禁止)
第481条 略
2  事業者は、伐木の作業を行う場合は、伐倒木等が激突することによる危険を防止するため、伐倒しようとする立木を中心として、当該立木の高さの2倍に相当する距離を半径とする円形の内側には、他の労働者を立ち入らせてはならない
3 略

〈林業・木材製造業労働災害防止規程〉

(近接作業の禁止)
第50条 会員は、立木を伐倒する場合は、近傍の他の作業者を立木の樹高の2倍以上離れさせなければならない。
2  会員は、近接して伐倒作業を行う場合は、高い方の樹高の2.5倍以上離れて作業させなければならない
(伐倒作業前の準備)
第55条 会員は、伐倒作業に当たり、作業者に次の事項について事前に確認させ、必要な措置を行った後に伐倒させなければならない。
(1) 略
(2) 立木の樹種、重心、つるがらみや枝がらみの状態、頭上に落下しそうな枯損木、枯れ枝等の有無を確認すること。
(受け口及び追い口)
第61条 会員は、チェーンソーによる伐木の作業を行う場合には、作業者に、それぞれの立木について、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
(1) 受け口の深さは、伐根直径(根張りの部分を除いて算出するものとする。)の4分の1以上とすること。ただし、胸高直径が70cm以上であるときは、3分の1以上とすること。
(2) 受け口の下切り面と斜め切り面とのなす角度は、30度以上45度以下とすること。
受け口の下切りと斜め切りの終わりの部分を一致させること。
(3) 追い口の位置は、受け口の高さの下から3分の2程度の高さとし、水平に切り込むこと。
(4) 追い口切りの切り込みの深さは、つるの幅が伐根直径の10分の1程度残るようにし、切り込み過ぎないこと
(くさびの使用)
第62条 会員は、チェーンソーによる伐木の作業を行う場合において、伐倒しようとする立木の重心が偏しているもの、あるいは、胸高直径が20センチメートル以上のものを伐倒しようとするときは、作業者に、同一形状かつ同じ厚さのものを組みにして、くさびを2本以上用いること等立木が確実に伐倒方向に倒れるような措置を講じさせなければならない
2 略
(伐倒合図)
第63条 会員は、チェーンソーによる伐木の作業を行う場合には、伐倒について予備合図、本合図、終了合図を定め、かつ、作業者に、これらの合図を周知させなければならない
(合図確認と指差し呼称)
第64条 会員は、チェーンソーによる伐木の作業を行う場合には、作業者に、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
(1)予備合図を行うこと。
(2)他の作業者が退避したことを応答合図により確認すること。
(3)本合図及び指差し呼称による確認を行った後、伐倒者以外の作業者が、立入禁止区域より確実に退避したことを確認してから伐倒すること
(4)伐倒を完了した後、終了合図をすること。