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災害事例研究 No.96 【林業】

立木の伐採作業中、枝が裂けて落下し、被災者に激突

 クルミを伐採するため、受け口を切っていたところ、下枝が裂けて落下し、地面に落下した後、跳ね返って被災者に激突した。被災者は、クルミを伐採する直前に、谷側に隣接した枯損木を伐採していた。

災害の発生状況

 当日、被災者は植林を行うための地ごしらえ作業の準備作業として、同僚5人と残存木の生立木や枯損木の伐倒作業に従事していた。被災者は、クルミから谷側約3m離れた枯損木の伐採を行った後、クルミ(樹高12m、胸高直径38 cm)を伐採するため受け口を切っていたところ、当該立木の下枝(地上高約5m、最大径20 cm、長さ約5m)が突然幹から裂けて落下し、地面に落下した後、跳ね返って被災者に激突した。
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災害の発生原因

  1. 外的な要因無しでクルミの枝が突然裂けて落下することは考えられないことから、枯損木とクルミは枝絡みであったために、枯損木を伐採したときにクルミの枝が引っ張られ裂けたと推察されることから、枯損木を伐採する前の上方確認、伐採方向の選定作業が不十分であったこと。
  2. 枯損木を伐採した後、クルミを伐採する前に上方確認をしていなかったこと。

災害の防止対策

  1. 枝絡みの立木を伐採する場合の事前準備作業として上方確認を行い、事前に枝を取り除くか、取り除くことができない場合には、隣接木と枝絡みの状況に応じた伐倒方向とすること。
  2. 枝絡みの立木の伐倒の方法
    受け口は深め、追い口は高め、クサビを打つときは慎重に打ち、予定した方向へ確実に倒すこと。
  3. 枝絡みの立木を伐倒する際の退避として、回り木、元口の跳ね返り、枝の落下に注意すること。また、退避場所にいるときも、退避場所から出るときも、飛来物や落下物に注意すること。
  4. 枯損木を伐倒した後、クルミを伐倒する前に落下するおそれのある枝などについて上方を確認し、落下するおそれのある枝がある場合には、事前に枝を取り除くか、取り除くことができないときには、枝が落下しても安全に作業できる伐倒方向の選定及び伐倒作業場所を確保すること。
    (注)林業労働災害防止5ヵ年計画最終年度の取組
    林業作業「今日の作業ポイント」カード参照

☆「今日の作業ポイント」カードを使って、日々基本作業・基本動作を確認しましょう。
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<参考>

災防規程

(枝絡みの木、つるがらみの木の伐倒)
第30条 会員は、枝絡みの木を伐倒する場合には、作業者に、できる限り伐倒前にからんでいる枝を取り除かせなければならない。取り除くことができない場合には、次の各号に掲げる事項を行わせなければならない。
(1) 枝がらみの木が斜面の上下に位置しているときは、下方の木から伐倒すること。
(2) 枝がらみの木が斜面の左右に位置しているときは、小さい方の木から、枝絡みの反対の方向へ伐倒すること。