令和6年の年頭に当たって

年頭のごあいさつ

林業・木材製造業労働災害防止協会
会長 中崎 和久

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 新年を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。
 令和6年の年頭に当たり、林材業における労働災害防止活動にご尽力いただいております会員事業場の皆様をはじめ、当協会の事業運営にご指導、ご支援をいただいております関係行政機関並びに関係団体の皆様方に心から感謝申し上げます。

 昨年5月8日、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行しました。
 新型コロナウイルス感染症の拡大期間中、感染予防対策や取組により様々な制約や制限を受けてきたところですが、その間も協会では安全で健康な林業、木材製造業の職場づくりのため、会員の皆様とともに、林材業の労働災害ゼロを目指して取り組んでまいりました。昨年後半からは、社会生活が少しづつ流行前に戻りつつあり、協会におきましてもこれまでと同様に安全衛生対策に取り組んでまいりたいと考えております。

 さて、昨年、国が策定する第14次労働災害防止計画(以下「第14次防」という。)がスタートいたしました。
 当協会におきましても、前5カ年計画期間中における労働災害の分析結果とこれまで進めてまいりました対策の効果の検証結果を踏まえ、林業における伐木等作業の「激突され」災害や木材製造業における「はさまれ・巻き込まれ」災害などを中心とした災害防止対策の徹底を図るとともに、国の法令等の改正に則し、今後5年間にわたり目指す計画目標や重点的に取り組むべき重点対策を定めた、新たな林材業労働災害防止計画(5カ年計画:令和5年度~令和9年度)を策定し、取組を進めているところです。

 新5カ年計画では、「労働災害ゼロ」を目指し林材業の安全衛生水準の向上を期すことを究極の目標としつつ、計画の進捗状況を把握するためのアウトプット指標と計画の効果検証をするためのアウトカム指標の二つの指標を定めました。

 アウトプット指標では、4つの措置として、2027年(令和9年)までに、林業で①「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」に基づく措置を実施する会員事業場を50%以上とすること、②車両系木材伐出機械作業による労働災害防止のための措置を実施する事業場を50%以上とすること、また、木材製造業で①機械による「はさまれ・巻き込まれ」災害防止のための措置を実施する会員事業場を60%以上とすること、②非定常作業における林業・木材製造業労働災害防止規程(以下「災防規程」という。)に基づく措置を実施する木材製造等を有する会員事業場を30%以上とすることを指標として定めています。
 このアウトプット指標は新5カ年計画で新しく設定された目標であり、目標の達成度合いを把握するため、「4つの措置」の取組状況のアンケート調査を会員事業場の皆様にお願いすることとなりますので、どうぞご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

 アウトカム指標では、前記のアウトプット指標を実施した結果として、①死亡災害は、林業・木材製造業とも2022年(令和4年)と比較し2027年(令和9年)までにそれぞれ15%以上減少させること、②死傷災害は、林業・木材製造業とも2022年と比較し2027年までにそれぞれ5%以上減少させること及び木材製造業の機械による「はさまれ・巻き込まれ」の死傷災害を5%以上減少させることを目標としています。

 また、計画期間中に取り組むべき重点対策として、①災防規程の遵守、災防規程の変更と周知、②リスクアセスメントの普及と実施の推進、③安全衛生教育の確実な実施など4つの林材業共通重点対策と、林業、木材製造業それぞれ個別の重点対策を定め、労働災害防止対策の推進に取り組むこととしています。

 さらに、昨年の協会の大きな動きとしまして、林業・木材製造業労働災害防止規程の変更を行いました。
 前災防規程は、平成29年10月26日から適用されていたものであり、最近の労働安全衛生関係法令や関係ガイドラインの新設・改正、近年の労働災害の態様等を踏まえ、条文の見直しを行ったものです。
 今回の変更では、①伐木等作業の安全対策に係る関係法令の改正による各種の安全措置、伐木等作業に係る特別教育の見直し、関係ガイドラインの改正を踏まえ、チェーンソーを用いて行う伐木等作業等で新たな事項を加え安全対策を強化したこと、②つる絡み及び裂けやすい木の伐倒作業における「激突され」災害、集塵サイロ等作業におけるおが屑等に埋没することによる災害、テーブル式昇降装置作業における「はさまれ」災害、走行集材機械の走行に係る災害等について、再発防止のための対策を充実したこと、➂伐木等初級者が就業できる業務に係る配慮と指導、困難木等の伐倒方法の規定を新設して伐倒時における安全確保を図ったことが変更のポイントとなっています。

 この変更災防規程は、昨年9月12日に厚生労働大臣の認可を受け、令和5年12月11日から適用されています。
 会員事業場の皆様には、新しい災防規程の冊子とパンフレットをお送りしていますので、この災防規程に基づいた正しい作業手順と安全な作業方法について遵守していただきますようお願いいたします。

 令和6年度の事業運営に当たりましては、これまで進めてまいりました事業を中心としつつ、新5カ年計画に基づく労働災害防止対策を進めるため、林材業における労働安全衛生分野の専門家集団として、林材業の作業特性を的確に捉え、長年にわたり蓄積した労働災害防止の知見とノウハウを活かし、本部・支部が一体となった取組みを進め、会員事業場の皆様をはじめ、林材業関係者の皆様への支援、援助を図ってまいりますので、当協会の活動に対しまして引き続きご支援とご協力を頂きますよう、お願い申し上げます。

 最後になりましたが、皆様方のご安全とご健康を祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。